統合失調症(精神分裂病)
統合失調症は、ドイツの精神医学者クレペリンがうつ病と対比して分類した精神疾患で、精神疾患の中では最も多いと考えられている。
統合失調症の病気の本質は、自己の内界へ注意が向かい、外界との疎通性が悪くなる内閉性、同時に相反する感情をもってしまう両価性、思考のまとまりが悪くなり支離滅裂になってしまう連合弛緩、感情の活発性や浮き沈みがなくなる平板化などがあり、他には幻聴や被害妄想などの症状も出現する。
統合失調症の初期は典型的な症状が目立たず、物悲しい様子や感情の平板化が見られる為、うつ病と間違われることがある。
うつ病と統合失調症は、別々の病気と考えられているが、症状などに重なり合う部分が多く、経過によって両方の特徴を現すことがある。
パニック障害
パニック障害は、過呼吸症候群や過換気症候群とも言われ、何か嫌なことがあったときや緊張感が高まったときに、呼吸の切迫感や息苦しさ、動悸、手足のしびれなどを感じ、意識が朦朧とする状態である。
通常は、30分程度安静にしていれば回復して元に戻る。
パニック障害は、呼吸困難や動悸など分かりやすい症状で出現する為、うつ病と誤診されることは少ない。
しかし、発作が治まっている時期に物悲しさを訴えることがある。
パニック障害とうつ病は重なる部分もあるが、同じではない為、それぞれの病気に応じた投薬が必要である。
抑うつ神経症
神経症とは、精神的ストレスが原因で、心身に障害が起こる病気である。
抑うつ神経症は心理的葛藤を処理しきれないときにうつ状態を現す。
うつ病と違うところは、明らかに本人にとって都合の悪くなる人間関係や社会的な争いごとを抱えていることで、物悲しい気分や疲労感を訴えるわりには、他人から見て元気であり、自分の好きなことができるのも特徴である。
自己の内的葛藤をあまり口にせず症状ばかりを訴える場合に、うつ病と間違われることがある。
適応障害
適応障害者は、神経症と同じように心理的葛藤を処理しきれない状況になったときに、葛藤を自分の内側に留めるのではなく、直接的に行動や周囲への反発として表現する。
精神症状として物悲しい気分と不安が多く現れる為、全体像を把握せずに精神症状のみで判断すれば、うつ病とされてしまうことがある。
心気神経症
心気神経症は、心理的葛藤を処理しきれないときに、過度に自己の健康を気にして、場合によっては自分自身が何か悪い病気にかかっているのでは、と極端に心配してしまう状態である。
身体の健康についての訴えが中心だが、あまりに過剰で本人も疲弊してしまうと、うつ状態になり、うつ病の心気傾向と間違われてしまうことがある。
覚醒剤後遺症
覚醒剤使用者が中断直後や完全に中止して数年後に、フラッシュバックと呼ばれる幻覚、妄想、知覚過敏の再体験と共にうつ状態が出現することがある。
神経衰弱
神経衰弱は、家庭内のもめごと、生活苦、不幸などの精神的負担や重病の回復直後、睡眠不足、重労働による肉体的疲労、老化など身体的負担が原因となり、精神的あるいは身体的疲労性を中心として神経過敏、集中力低下、不眠などを起こす状態である。
慢性的な情動の緊張低下で物悲しく見える場合、うつ病と間違われることがある。
なお、内科では慢性疲労症候群と呼ぶ。
強迫神経症
強迫神経症によく見られる症状は、汚れや病原菌に対する不潔感、他人に何か悪いことをしたかもしれないという観念を背景にした確認行為、ばかばかしい考えが何度も心の中に繰り返して侵入してくる体験、物を置く位置にこだわる、物が捨てられずにため込んでしまう、儀式的行為が止められないなどである。
時に強迫症状よりも、その辛さによるうつ状態を訴えることがある為、うつ病と間違われることがある。
恐怖神経症
恐怖神経症は、特定の対象に対する恐れや不安などの精神症状が出現する神経症で、閉所恐怖、広場恐怖、高所恐怖、赤面恐怖、視線恐怖、対人恐怖、先端恐怖などがあり、物悲しさも症状として現れる。
ヒステリー
ヒステリーは、心理的葛藤を処理しきれず、失神による意識障害や身体の一部が麻痺するなどの特徴的な症状を現す病気である。
アルコール依存症
慢性的にアルコールを飲酒していると、脳の萎縮などの障害が起こり、それが原因でうつ状態を起こすことがある。
また、アルコール依存症の人がアルコールを中断すると、禁断症状の一部としてうつ状態が出現することがよくある。
摂食障害
拒食症や過食症の人は、不安感、焦燥感などを現すが、物悲しくなることもよくある。
てんかん
てんかんは、慢性脳障害で情緒と性格の変化を伴う精神疾患であり、大脳神経細胞の障害などによって出現する。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)
心的外傷後ストレス障害は、覚醒亢進、不眠、驚愕反応、集中困難、回避行動、無関心、感情の縮小、フラッシュバックなどの症状を発症する。
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