うつ病の歴史とうつ病と間違われた病気

うつ病

うつ病は約120年前にドイツのエミール・クレペリンという精神医学者が提唱した心(精神)の病気である。


古くはギリシャ時代(紀元前10〜8世紀頃)から、うつ病は「メランコリー」という名前で既に知られていた。


まずは「うつ病」と医師に言われて治療したのに、実は全く違った病気だった事例を紹介する。



うつ病と間違われた病気


①悪性腫瘍

症状→物が二重に見える複視、気分が沈む、よくつまずく


②統合失調症

症状→気分が沈む、楽しめない、眠れない、食欲がない、恐怖感、不安感、幻聴


③痴呆

症状→軽い物忘れ、元気のなさ


④抑うつ神経症

症状→出社しようとするときだけ気分が沈む


これらは、初めにうつ病と言われたが、それは間違いだった。


これは誤診ではなく、うつ病という病気の概念が広がりすぎたことが原因であり、アメリカ精神医学会の診断基準が導入され、従来のドイツ精神医学で扱われてきたうつ病との間で混乱が起きているからである。


ドイツ精神医学のうつ病


精神医学は榊俶さかきはじめ呉秀三くれしゅうぞうなどがドイツに留学し、後の日本の精神医学と医療の基礎を築いた。


ドイツ精神医学の中心に、ミュンヘン大学教授の精神医学者エミール・クレペリンがいた。


クレペリンは、精神疾患を大きく二つに分けた。


それが今の統合失調症躁うつ病である。


本来のうつ病とはクレペリンのいう「躁うつ病」のうち「うつ」の部分の病気をさす。


つまり、「うつ病」のみを発症にしろ、「躁病」のみを発症するにしろ、両方を併せ持つにしろ、「躁うつ病」という単一疾患としたのである。


現在、日本では「うつ病」と「うつ状態」という二つの言葉が使われていて、「うつ病」はクレペリンが概念化した精神疾患のこと、「うつ状態」は心理的な症状や身体疾患の症状として起こる気分が沈んだ状態を表している。


前述した「うつ病」と間違われた人達は、「うつ状態」だったといえる。


アメリカ精神医学会の気分障害


クレペリンによる躁うつ病が単一の病気であるという考えは、うつ病の診断と治療の考え方の基礎となった。


ところが、クレペリンの規定したうつ病だけでは収まらない、うつ病に類似した病気が出現してきた。


その為、うつ状態もうつ病の中に含めるような診断がされるようになってきて、それらは「非定型うつ病」「逃避型うつ病」「未熟型うつ病」「現代型うつ病」「新型うつ病」などと呼ばれた。


こうした動きの中、アメリカ精神医学会は精神疾患の臨床的研究の為に、広く統一された診断基準が必要と考え、1980年に「操作的診断基準」を設定した。


「操作的診断基準」とは、精神疾患に出現する症状をリストアップし、そのうちのいくつかを満たせば、自動的にその病気を診断してよいというものである。


この基準によって、精神科の勤務経験に関係なく同じように診断でき、また世界のどこでも共通して同じ診断ができるようになった。


この診断基準ではまず、従来の躁うつ病を気分障害と名付け、うつ病と躁病を繰り返す病気(躁病のみも含む)は双極性障害と名付け、うつ状態やうつ病のみを繰り返す病気はうつ病性障害と名付けた。



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